平成23年度日本医用画像管理学会第2回学術大会(青森)

 【日 時】 2011年09月16日(金) 13:10~15:20
 【会 場】 第7会場 (ホテル青森 3Fあすなろの間・はまなすの間)
〒030-0812 青森市堤町1-1-23
 【医用画像情報管理士更新カウント】
   2カウント
 【医療情報技師更新ポイント】
   1ポイント コードNo.11-052
 【医用画像情報専門技師更新ポイント】
   1ポイント コードNo.K11-014
 

<プログラム>
 I. 開会の辞
 II. 合同会員発表(JSMIM,KMIIAA)(13:15~13:45)
座長 日本医用画像管理学会     谷口 貴久 理事
大韓医療映像情報管理学会  Chang Kwang Hyun副会長
 III. インターナショナルセッション (13:45~15:15)
シンポジウム  テーマ:災害時の対応
座長 日本医用画像管理学会      麻生 智彦 会長
大韓医療映像情報管理学会   Lee Hyun Bok 会長
 本シンポジウムでは、3月11日の東日本大震災にて、被災され実際に災害時の対応をご経験された立場として、独立行政法人仙台医療センターの阿部喜弘先生ならびに山形大学医学部附属病院の石井英夫先生にご報告戴きます。
 また、計画停電時における対応経験として本会の神宮司理事ならびに樋口理事が、ベンダとしての立場から上杉理事が報告致します。各シンポジストには、実際の対応状況やそこから浮き彫りにされた問題点等の内容についてお願いしています。また大韓医療映像情報管理学会からは、韓国における停電時対応等についてご講演戴きます。

 1.被災地からの報告1
   東日本大震災時の当院の対応
  独立行政法人仙台医療センター 阿部 喜弘 先生
 2.被災地からの報告2
   山形大学周辺の状況
  山形大学医学部附属病院 石井 英夫 先生
 3.計画停電時における対応(医療機関として)
  日本医用画像管理学会 神宮司公二 理事
 4.計画停電時における対応(大学として)
  日本医用画像管理学会 樋口 清孝 理事
 5.計画停電時における対応(ベンダとして)
  日本医用画像管理学会 上杉 正人 理事
 6.PACS障害における対策
  大韓医療映像情報管理学会    Chang Kwang Hyun副会長
 IV. 記念品贈呈
 V. 閉会の辞

【抄録】
II. 合同会員発表
 1.3DWSの検査としての運用システム構築
  国立がん研究センター中央病院放射線部(診断) 曽根原 純子
   近年CT装置の多列化により、画像のthin slice化とデータ量の膨大化及びこれを利用した3D画像作成が一般化している。しかし、CT検査の一環として作成される3D画像に関するデータ量及び作業量の管理については把握されていないのが現状である。 3D画像作成業務を一つの検査と考え記録を残し、放射線情報システムより集計可能なうえ、電子カルテよりCT検査ではなく3D処理画像として閲覧が可能とするシステムを構築したので報告する。

 2.院内画像配信システムの検討
  りんくう総合医療センター 小西 康彦
   フィルムレス運用を実施している施設は増加傾向である。当然であるが、フィルムレス運用では、画像の院内配信が必須となる。さらに、24時間365日稼動することが前提となり、各施設とも画像サーバの冗長化をはじめ対応を講じているところである。しかし、100%を求めるならば、構築にかかる経費は無限に膨らんでいく。そのため、現実的には「費用対効果」を勘案し、各施設でさまざまな冗長化がとられているところである。今回、我々の施設でも「費用対効果」を勘案した上で、院内画像配信の冗長化を目的とした院内画像配信システムを検討したので報告する。

 3.スマートフォンを利用した Mobile PACSの連動及び有用性に関する考察
  カトリック大学ソウル聖母病院映像情報室 Lee Jong Seon
   2011年 3月、スマートフォン加入者が 1000万人を超えたという調査結果が発表された。今後、競争がますます激しくなる状況でスマートフォンの発展と普及率は今後とも急増することと予想される。スマートフォンを利用したモバイル医療画像情報システム (以下 Mobile PACS)の連動及び有用性と発展方向を提示することで、デジタル医療環境を発展させるのに貢献しようと考え、Mobile PACSの連動過程と方式に対して調査したので報告する。

III. インターナショナルセッション
  シンポジウム  テーマ : 災害時の対応
1.被災地からの報告1   東日本大震災時の当院の対応
  独立行政法人仙台医療センター 阿部 喜弘
   2011年3月11日の東日本大震災は、我々がこれまで経験したことのない大災害となった。特に沿岸部では壊滅的な打撃をうけた。当院では津波の被害は免れたが、建物の被害やライフラインの断絶など診療に困難を極めたが、災害拠点病院という使命のもと職員一丸となって対応にあたった。我々、放射線科も24時間体制で救急患者の対応にあたったが、装置の損壊はなかったものの停電により一部の装置しか使えず、また、オーダリング、サーバー等も使用不能となりすべて手作業での運用となった。今回、当時を振り返って、その時の我々の対応、またその時感じた問題点を若干ではあるがお話させていただきます。

2.被災地からの報告2   山形大学周辺の状況
  山形大学医学部附属病院 石井 英夫
   3月11日14時46分に地震が発生し、この地震の衝撃と津波により東北地方の太平洋沿岸部にこれまでにない大きな被害がもたらされた。当県は日本海側にあり、最大震度は5強が記録されたものの、当院においては建物や医療情報系のサーバ等に大きな被害はなかった。しかし地震発生当初より停電が発生し、自家発電に切り替わったものの燃料の制限があるため、電源管理が課題となった。そこで稼働させる放射線機器を制限、照明を落とす等努力を行った結果、電力供給が復旧するまでの間、自家発電で乗り切ることが可能であった。本報告では震災当初の院内の状況と山形市内他施設の電源供給に関する現状等を報告する。

 3.計画停電時における対応(医療機関として)
  日本医用画像管理学会理事 神宮司公二
   突然報道され、詳細な情報を入手出来ないまま実施された計画停電に、大学病院として放射線部として如何に対応したのか(対応せざるを得なかったのか)を報告したい。 計画停電は、全エリアを5グループに分けグループ毎に実施された。実施予定時間帯は1日毎に後方の時間帯にシフトし、また1日2回予定されるグループもあり、その対応は複雑なものであった。当初、東京電力から発表された計画停電対象グループ分けリストを確認したところ、当院は第4グループに該当すると思われたが病院の住所地の記載は見当たらなかった。しかしながら、当院が計画停電の対象外になった訳ではなかった。 計画停電実施予定第一日目の早朝に開催された病院緊急対策会議において、病院の基本方針が決定された。また、病院内各部門においては、基本方針に沿った部門別行動計画が立案され実施された。 本シンポジウムでは、実際の対応と対応を通じ顕在化した問題を提示するとともに、その対策案について議論したい。

 4.計画停電時における対応(大学として)
  日本医用画像管理学会理事 樋口 清孝
    診療放射線技師を養成する大学として、この度の震災の影響による計画停電で生じた教育上の問題点と、その解決策について紹介する。紹介する内容の一つは「大学授業における影響と対応」、もう一つは「大学設備における影響と対応」についてである。その中には、学内外のすべてのネットワークシステムが利用できない状況下での苦労や工夫もみられた。また、震度6強(気象庁震度階級)の被害を受けた本学(国際医療福祉大学 大田原キャンパス)の様子についても紹介する。このような経験から「起こり得る災害を想定した備えと訓練が必要」ということを再認識させたられた。

 5.計画停電時における対応(ベンダとして)
  日本医用画像管理学会理事 上杉 正人
    計画停電に対してどのようなリスクに対応すればよいのかシステムベンダーの立場から発表する。このリスクを次の3点に分けて検討する。?計画停電に入る前のリスク、1.計画停電中のリスクそして2.計画停電から復旧時のリスクである。計画停電の特殊性は、院内の情報システムの停止や起動が病院全体で起こることである。こうした場合メンテナンスによる一部のシステムの停止とは異なるリスクが存在する。こうしたリスクに対応するためシステム停止のマニュアルや院内システムの依存関係を考慮したシステム復旧手順の整備が必要である。またリスクに対して職員間で十分なコミュニケーションをとり組織的なリスク対応が必要である。

 6.PACS障害における対策
  大韓医療映像情報管理学会副会長 Chang Kwang Hyun
    今日、多数の医療機関でデジタル環境とネットワーク環境を基盤として診療が行われている。このようなデジタル環境とネットワーク環境は、以前より正確で迅速な患者の診療、および検査を可能にしているが、これらの環境を維持するためには各コンポーネントへの電源の供給が必須の前提条件である。
 病院の PACSはシステムで構成されているので、システムの中の一部の通信障害とか、個別装置の故障、各装置への電源の供給など、いろいろな原因でPACSシステムの部分的、または全体的な障害を引き起こす可能性がある。
 実際に医療機関では、いろいろな原因で部分的障害を起こす場面が多く発生している。ネットワークの場合はお互いに多重連結になっている医療機関が多いので、全体的なシステムの障害を除けばPACSシステムに重大な問題を起こす場合は少ないと思われる。しかし、PACSを構成している装置の場合は、装置の故障とか電源供給問題の場合は、その装置が全体システムに影響を与えるか与えないかによってシステムに深刻な問題が発生するかどうかが決定する。
 このようなネットワークの障害、装置の故障、 電源供給の問題による影響がPACSシステム全体にどのぐらい影響を与えるかによって、病院側での対応方法も変えなければならない。
 様々な状況の中で、正常な診療体系の確立のため、障害が発生した時点からより早く復旧する方法を、具体的かつ段階的に立てることがなによりも重要だと考える。
 まず技術的な障害が発生した場合を想定し、順次対応し検討することができるマニュアルを作成しなければならない。また、医療機関に勤める職員たちのための状況対応マニュアルも一緒に準備しなければならない。これは問題が発生した時点から復旧するまでを、時間帯に分けて具体的に作成しなければならず、復旧後、障害時に発生したデータの正確な復旧及び確認作業が具体的に明示されていなければならない。
 各種障害への対応方法も非常に重要な事だが、さらには、障害復旧後のデータが診療に使用可能かどうか、検証作業が何よりも重要だと考える。