趣意書

日本医用画像管理学会 

 近年、医用画像情報ネットワークシステムの進歩とグローバル化には著しいものがあります。時代のキーワードもクリニカルパス、インフォームド・コンセント、リスクマネジメント、EBMに代表されるように病院経営という視点からも業務の効率化が重要視されるようになってきています。

 医用画像情報ネットワークシステムの急速な発展に伴い、医用画像情報ネットワークシステムの病院への需要は大幅に増加してきているのが現状です。とりわけ画像情報処理・画像圧縮技術の進歩により、CT,MRIに代表されるようにマルチモダリティから発生するデータ量が増加し、画像ネットワークシステムならびに医用画像情報システムの導入により業務の効率化と画像保管・画像配信に威力を発揮しています。

 平成11年4月、厚生省(現在は厚生労働省)健康政策局長・医薬安全局長・保険局長より出された「診療録の電子媒体による保存について」の通知を受け、多くの医療機関が「HIS・RIS・PACS」更にレポーティングシステムを導入し、診療録を電子化して保存・管理するようになりました。上記の提言を受け、医療施設では「電子カルテシステム」を導入して、フィルムレス、ペーパーレスでの運用を目指していますが、医用画像情報システムの導入には様々な技術的問題と多大なコストに頭をかかえるのが現実です。具体的な問題点として、1)HIS,RIS,PACSシステム構築では、参照画像とDICOMオリジナル画像の配信、レポートの配信方法、画像の圧縮率と画像保管容量、画像保管期間、画像保管媒体等、2)システム連携面で、マルチベンダー、マルチモダリティを含めたDICOM規格のサポート、CRTモニターの精度管理、3) システム運用面での問題点では電子保存3原則に準拠するための運用管理規定の策定、4)システム保守管理面ではシステム維持管理費、セキュリティー管理、保守整備等の枚挙のいとまがないのが現状です。
 そこで、HIS・RIS・PACS連携による画像診断部門の多くの医療現場では、診療放射線技師が医用画像情報の管理・運営面で大きな役割を果たしているのが現状であります。

 このような医療現場を反映し、医用画像情報システム構築に関する知識の普及、技術的問題点の解決や新たな医用画像情報の管理システムの開発、医用画像情報管理について会員相互の研究活動と情報交換の推進を図ることを目的に、本学会を通じて会員が関連学会や関係機関とともに有機的に連携した活動を行う事で、医用画像情報管理における技術開発や技術の提供、共同研究による成果を公開し、広く社会に資する必要があると考え、社団法人日本放射線技師会学会設置規定により本学会を設立した次第です。
 さらに、平成14年3月、厚生労働省「保健医療分野の情報化にむけてのグランドデザインの策定について」の提言では、保健医療の情報化計画と目標達成のための道筋、推進するために方策が示され、「情報化に向けてのアクションプラン」では、特に「今後医療機関内におけるIT技術者の資格や待遇の確立を図る必要がある」と提言しています。平成14年3月、閣議決定された「規制改革推進3ヶ年計画(改定)」、さらに、平成15年7月、「e-JAPAN重点計画―2003」がIT政略本部から迅速かつ重点的に実施すべき施策について、患者基点の医療体制の整備、医療機関の経営効率と医療サービスの向上を掲げています。 
 このような施策を踏まえて、本学会では医用画像管理に従事する人材の養成と社会的役割を明確にするための講習会や認定制度の構築はどのようにあるべきかについて、広く討議しながら推進したいと思います。

 これからの医用画像情報ネットワークシステムの構築、運用において医用画像情報の管理と患者のプライバシー保護のためのセキュリティー対策が非常に重要であり、今後積極的に関与しなければならないと思います。さらに、医用画像情報のネットワーク化は作業効率の向上を期待され、病院経営における経済効率の向上に寄与するものでなければいけません。医用画像情報システムの拡充は患者中心の医療を実現して、医療経済面で有益かつ効果的である事が望まれます。

 以上より、本学会は、1)診療放射線技師と医用画像情報管理に関する研究者との共同研究、2)我が国における医用画像情報管理に関する技術的体系の確立、3)国際的学術交流のためにアジア近隣諸国との共同調査・研究、合同講演会の開催を通じて国際交流への貢献、4)教育・研修による医用画像情報管理に係る認定制度を確立することにあると思います。医用画像情報管理に関する学術的研鑽と実践的活動を行うことにより、保健・医療・福祉において広く国民の要望に応えるために医用画像情報管理の向上に寄与することを目指しています。
 医用画像管理に関心をもつ診療放射線技師、医用画像情報管理に関する研究者やシステム開発技術者、医療関係者等が集い、幅広く意見交換を行いながら医用画像管理に関して保健医療における発展に寄与することは大変意義深いものであり、時代の要請に応えるものと思われます。
 本学会設立の趣旨をご理解頂き、皆さまの積極的な入会をお待ちいたします。